断熱性能は、「断熱等級6」「UA値0.46」といった数字だけでは、自分の暮らしにどう影響するのかが分かりにくいものです。
断熱等級は、家の断熱性能を客観的に比較するための基準で、地域区分や補助金制度とも深く関わっています。
仕組みを理解しておくと、数字と実際の暮らしやすさを結びつけて判断しやすくなります。
<本記事で分かること>
・断熱等級の基準やUA値・ηAC値の意味
・等級1〜7の基準値を地域区分ごとに比較したデータ
・断熱性能が高い家で得られる暮らしの快適さ
・自分の家に必要な断熱等級の選び方
この記事では、家づくりで重要な「断熱等級の仕組み」を分かりやすくまとめました。
数字と実際の暮らしやすさを結びつけるための基礎知識をはじめ、補助金制度との関わり 等、滋賀県で家を建てるなら知っておきたい注意点を、滋賀県にて住宅提供を行う『オウミ住宅』がご紹介します。
目次
・断熱等級とは?基準の意味をわかりやすく解説
・断熱等級1〜7の基準を一覧で比較
・断熱等級が高いとどう変わる?暮らしのメリット
・自分の家にはどの断熱等級が必要?後悔しないための3つのポイント
・まとめ
断熱等級とは?基準の意味をわかりやすく解説
断熱等級はなぜ生まれたのか
断熱等級は、2000年に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづき、国土交通省が住宅性能表示制度の一部として定めた指標です。
前身となる1999年の次世代省エネ基準で等級4の水準がまとまり、2022年には上位の等級5・6・7が追加されました。なお、制度開始当初は「省エネルギー対策等級」という名称で、2015年4月から現在の「断熱等性能等級」に改められています。
背景にあるのは、断熱性能が仕様書や図面だけでは比較しにくいという問題です。
壁の厚みや窓の種類は会社ごとに異なり、専門知識がなければ「この家はどのくらい暖かいのか」を判断できません。
そこで性能を数値で表すことで、住宅会社をまたいで比較できるようにしたのが断熱等級です。
住宅会社を比較検討する際は、間取りやデザインと並べて等級の数字も確認材料に加えるとよいでしょう。
断熱等級の基準となるUA値・ηAC値とは
断熱等級は、UA値とηAC値という2つの数値で判定されます。
UA値は、外皮平均熱貫流率と呼ばれ、壁・窓・屋根・床など家全体から逃げる熱量を、外皮の面積で割って求めた数値です。値が小さいほど、熱が外に逃げにくい家を意味します。
ηAC値は、冷房期の平均日射熱取得率で、夏の日射がどれだけ室内に入り込むかを示します。窓から差し込む熱が室内温度を押し上げるため、この値が小さいほど日射をうまく遮り、冷房の効きやすい家になります。
断熱等級は、UA値とηAC値をそれぞれ地域区分ごとの基準値と照らして等級判定し、低いほうの等級を住宅全体の等級として採用します。
断熱等級と混同されやすいZEH・HEAT20との違い
ZEHはエネルギー収支をゼロに近づける仕組みで、断熱性能の基準自体は等級5とほぼ同水準に設定されています。
異なるのは、ZEHが太陽光発電などの創エネ設備の搭載を条件に含む点です。
断熱等級が「熱を逃がさない性能」を測るのに対し、ZEHは「使うエネルギーを自分でまかなえているか」まで含めて判定します。
HEAT20の基準は国の制度ではなく、住宅の高断熱化の普及を目的とする一般社団法人HEAT20が提唱する断熱の目安です。体感の快適さを軸にしたG1・G2・G3の3段階があり、等級6はG2、等級7はG3を参考にしています。
断熱等級は住宅会社を横並びで比較する共通言語として使い、実際に建てる段階でZEHの補助金条件やHEAT20の体感データもあわせて確認するとよいでしょう。
2027年にZEH基準が改正され等級6が必須に<GX ZEHシリーズ>
現在、ZEHの断熱基準は「等級5」と同水準に設定されていますが、実は2027年から新たな基準へと大きく改正される予定です。
新しい基準(GX ZEH)では、ベースとなる断熱性能が「等級6」へと引き上げられます。
さらに、太陽光発電に加えてHEMS(家庭で使うエネルギーを管理・節約するシステム)や、蓄電池の導入も必須となる予定です。
今後はエネルギーを創るだけでなく、「賢く管理して貯める」ことが、家づくりの新たなスタンダードになっていきます。
断熱等級1〜7の基準を一覧で比較
等級ごとのUA値基準(地域区分別)
UA値の基準は地域区分によって変わり、寒冷地ほど厳しい数値が設定されています。
滋賀県を含む5〜7地域(国土交通省の資料では水戸・東京・熊本などが代表例として挙げられている区分)では、次の基準値が共通して使われます。
<滋賀県を含む5〜7地域のUA値基準>
・等級4:UA値0.87以下
・等級5:UA値0.60以下
・等級6:UA値0.46以下
・等級7:UA値0.26以下
これより下の等級1〜3は、現行の省エネ基準を下回る水準にあたります。
2025年4月の義務化で等級4が事実上の最低ラインになったため、現在の新築ではほとんど使われていません。
2025年義務化される断熱等級の基準
2025年4月から、原則すべての新築住宅で断熱等級4(UA値基準)と一次エネルギー消費量等級4以上への適合が義務化されました。これまで努力目標だった省エネ基準が、最低ラインとして法的に求められる基準に切り替わったことになります。
省エネ基準への適合は、建築確認の審査の中で一体的に審査される仕組みで運用されています。そのため、設計段階で基準への適合が確認できなければ確認済証が交付されず、着工できません。完了検査で適合が確認できない場合も、検査済証が交付されません。
さらに2030年には、最低基準が等級5まで引き上げられる予定が示されています。
義務化ラインぎりぎりの等級4で計画すると、数年後には最低基準に届かない住宅になりかねません。
長く住む前提で選ぶなら、義務化の基準そのものより一段上の等級を目安にしておくのも選択肢の一つとなるでしょう。
等級6・7が新設された背景
断熱等性能等級6・7は、2022年10月1日に新設されました。
背景には、2022年3月まで最高等級だった等級4が、より高い性能を目指す住宅の目標としては物足りなくなりつつあったという事情があります。
カーボンニュートラルの実現に向けて住宅の省エネ性能を底上げする必要がある一方、等級4のままでは「これ以上性能を上げる余地」を等級で示せなくなっていました。
そこで同年、まず4月に等級5と、消費エネルギー量を測るもう1つの指標である一次エネルギー消費量等級6が先行して施行され、半年後の10月により厳しい等級6・7が追加される形で、上位等級が段階的に整備されました。
等級4が省エネ基準、等級5がZEH水準にあたるのに対し、等級6・7は、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量を省エネ基準からおおむね30%(等級6)・40%(等級7)削減することを目安に設定された上位グレードです(体感を重視するHEAT20の基準との対応は前の項目を参照)。
断熱等級が高いとどう変わる?暮らしのメリット
室温が安定し一年中快適に過ごせる
断熱等級が高い家ほど外気の影響を受けにくく、冷暖房を止めても室温が急に上下しません。壁や窓から熱が出入りする量が少ないため、設定温度を保つための負担が減り、朝晩の温度差が小さいまま安定しやすくなります。
部屋ごとの温度差が縮まるのも、同じ理由によるものです。断熱性能が低い家では、暖房の効いたリビングと、廊下や脱衣所のような暖房のない場所との差が大きくなりがちです。断熱等級が上がるほど熱の出入りが家全体で均一に抑えられるため、廊下やトイレが極端に冷え込みにくくなります。
体感の変わり方は等級によって段階があります。等級4から5への引き上げでも違いは感じられますが、等級6・7になるとUA値がさらに小さくなり、暖房を切った部屋との温度差も縮まりやすくなります。等級ごとの違いは、モデルハウス等、実際の室内で確かめるのが一番確実です。
光熱費を抑えられる
断熱性能が上がるほど、冷暖房でロスする熱量が減り、同じ室温を保つために使う電力量も少なくなります。等級を1段階上げるごとに冷暖房費が目に見えて変わるとよく言われますが、実際の下げ幅は住宅の広さや窓の面積、使う設備、契約している電力プランによって差が大きく、一律にいくら安くなるとは言えません。
大切なのは、検討している間取り・仕様のまま等級を変えた場合の光熱費シミュレーションを、具体的に出すこと。断熱にかける初期費用と、想定される光熱費の削減額、さらに初期費用の回収年数も、見積もり時点の条件であわせて試算すると判断しやすくなります。家づくりの際は住宅会社に相談してみるのがおすすめです。
結露やヒートショックを防ぎやすくなる
結露は、暖かく湿った室内の空気が、外気で冷えた窓や壁の表面に触れて水滴に変わることで起きます。断熱性能が低いほど窓や壁の表面温度が外気に近づきやすく、結露が発生しやすくなります。結露を放置すると、壁の中にカビやダニが発生し、建材の劣化にもつながります。
ヒートショックは、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移動した際に血圧が急激に変動する現象で、心疾患や脳血管疾患のリスクを高めることが知られています。原因は部屋ごとの温度差そのものにあるため、家全体の断熱性能が低く温度差が大きい住宅ほど起こりやすくなります。
断熱等級を上げることは、この2つのリスクをまとめて抑える対策になります。壁や窓の表面温度が室温に近づくことで結露が起きにくくなり、浴室やトイレの温度低下も抑えられるため、家の中を移動するときの急な温度差を減らせます。
自分の家にはどの断熱等級が必要?後悔しないための3つのポイント
ポイント1. 住む地域の「地域区分」と基準を正確に把握する
自分の住むエリアの地域区分は、国土交通省が公表している地域区分表で市町村ごとに確認できます。ただし告示そのものは専門的な書き方になっているため、実務では建築を依頼する住宅会社に確認するほうが早く、間違いも少ないでしょう。
注意したいのは、同じ「等級6」という表示でも、地域区分が違えば求められる基準の中身が変わる場合がある点です。
とくに夏の日射遮蔽を示すηAC値は地域によって基準が異なるため、同じ等級の他のエリアの体験談をそのまま自分の家に当てはめると、実際に建てる地域の基準とずれることがあります。
<滋賀県の主な地域区分とUA値・ηAC値の基準>
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住宅のグレード |
UA値の基準(5地域・6地域共通) |
ηAC値の基準(5地域:大津市など) |
ηAC値の基準(6地域:草津市など) |
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断熱等級4 |
0.87以下 |
3.0以下 |
2.8以下 |
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断熱等級5 |
0.60以下 |
3.0以下 |
2.8以下 |
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断熱等級6 |
0.46以下 |
3.0以下 |
2.8以下 |
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断熱等級7 |
0.26以下 |
3.0以下 |
2.8以下 |
上の表の通り、冬の基準(UA値)は両方の地域で同じですが、夏の基準(ηAC値)は市によってわずかに異なります。
一方で、ηAC値には「等級4〜7のどれを目指しても目標数値が変わらない」という特徴があります。 そのため、滋賀県で夏の断熱基準(ηAC値)を確認する際は、「どの等級の家にするか」ではなく、「どの市(5地域か6地域か)で建てるか」を確認するだけで目安となる基準がわかります。
ポイント2. 将来の光熱費や「補助金制度」から逆算して選ぶ
たとえば2026年度の「みらいエコ住宅2026事業」では、断熱等級6以上などを要件とする『GX志向型住宅』に対し、滋賀県(5〜8地域)で1戸あたり110万円の補助が設定されています。
(※GX志向型住宅は、交付申請の予約が2026年11月16日まで、交付申請が12月31日までとされ、予算上限に達した時点で受付終了となります)
補助金は年度ごとに条件や予算枠が見直されるため、着工時期の最新情報は必ず住宅会社に確認しておきましょう。
また、長く安心して住める「長期優良住宅」の認定にも断熱等級は直結します。2022年10月の基準改正以降、認定を受けるには断熱等級5以上を満たすことが条件になりました。
目的別に整理すると、次のような選び方の目安になります。
・義務化された最低基準を満たす:等級4
・将来の売却や長期優良住宅の認定を意識する:等級5以上
・GX志向型住宅などの手厚い補助金を使う:等級6以上
等級6・7まで上げた場合の光熱費や体感の効果は、建物の形状や窓の配置によって差が出やすいため、補助額も含めてシミュレーションで確認した上で検討しましょう。
ポイント3. 「性能の証明方法」と「気密測定の有無」を確認する
最後に、住宅会社へ断熱等級を確認する際の重要なポイントです。
等級の数字だけを聞くのではなく、「その等級をどうやって証明しているか」まで確認しておきましょう。
建築士が作成する性能表示計算書や、第三者機関が発行する住宅性能評価書などで確認できます。
もう1つ確認したいのが、「設計上の性能」と「実際の施工精度」の違いです。
実のところ、UA値はあくまで設計段階の計算値であり、完成後に実測されるものではありません。
実際の施工精度が反映されるのは「C値(気密性能)」の方で、こちらは建設途中や完成時に送風機を使って実測します。
いくら設計上のUA値が良くても、実際の施工で隙間が多ければせっかくの性能を発揮できません。そのため、家を建てる際に「気密測定」を実施しているかどうかも確認しておくと安心です。
まとめ
断熱等級は、UA値・ηAC値をもとに家の断熱性能を1〜7の等級で表す客観的な基準です。義務化ラインの等級4はあくまで最低基準であり、将来の光熱費や補助金、長期優良住宅の認定まで見据えるなら、等級5以上を軸に検討したいところです。
オウミ住宅の「Oumi Labo」では、国の最高基準である「断熱等級7(HEAT20 G3水準)」をクリアした「外張断熱7」のモデルハウスを公開しています。
このモデルハウスでは、熱の逃げにくさを示すUA値「0.26」、家の隙間の少なさ(気密性)を示すC値「0.27」という、裏切らない確かな数値を実現。
あわせて最高等級の「耐震等級3」にも対応しています。
部屋ごとの温度差や窓際の冷え込みは、数値だけでは伝わりにくいため、モデルハウスで実際に確かめてみてください。
▼「数字で証明する、本気の家づくり。」
オウミ住宅の性能特化モデルハウス「外張断熱7の家」詳細はこちら
<参考>
住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001585664.pdf
地域区分表(令和2年7月時点)|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001500182.pdf
長期優良住宅認定制度の概要|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750682.pdf
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の概要|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001586555.pdf
建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料(令和6年9月)|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001627103.pdf
2025年4月からルールを改正します!|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001841001.pdf
改正建築物省エネ法オンライン講座 よくある質問|国土交通省
https://www.shoenehou-online.mlit.go.jp/faq/energy-saving/
みらいエコ住宅2026事業|国土交通省
https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/about/new-house.html



