家づくりにおいて、快適な住環境を左右する「断熱」。
中でも「外張り断熱」は、高い断熱性と気密性を確保できるとして近年注目を集めている工法です。
しかし、導入を検討するにあたり「内断熱との違いは?」「デメリットや注意点はあるのだろうか」と疑問に感じる方もいるはずです。
この記事では、外張り断熱の基本的な仕組みや内断熱との違いをはじめ、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
また、後悔しないための注意点や断熱材の選び方についても触れていますので、高性能な住宅を建てたいという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
・外張り断熱とは?内断熱の違いを比較
・外張り断熱を採用する3つのメリット
・外張り断熱にデメリットはある?知っておくべき注意点
・外張り断熱で使われる主な断熱材の種類と性能比較
・我が家に合う断熱材はどれ?「種類」と「厚み」から考える正しい選び方
・まとめ
外張り断熱とは?内断熱の違いを比較
ひとくちに家の断熱といっても異なる種類があり、それぞれ特徴や得られるメリットが大きく異なります。
ここでは、「外張り断熱」の基本的な仕組みや、従来からある内断熱との違いについて詳しく解説します。
「外張り断熱」と「外断熱」の言葉の違い
家づくりについて情報収集をしていると、「外張り断熱」と「外断熱」という2つの言葉を目にすることがあるかもしれません。これらは別のもののように思えますが、実は目的や得られる効果は同じです。
違いは「対象となる建物の構造」にあります。建築業界では一般的に、鉄筋コンクリート造(RC造)などの建物の外側を断熱する工法を「外断熱」、木造住宅の外側を断熱する工法を「外張り断熱」と呼び分けています。
本記事では、木造住宅を前提とした「外張り断熱」として解説を進めていきます。
外張り断熱工法の仕組みと特徴
外張り断熱とは、柱や梁といった建物の構造体の外側を、ボード状の断熱材ですっぽりと包み込む工法のことです。家全体を外側から断熱材で覆うため、魔法瓶のように室内の温度を一定に保ちやすいという特徴があります。
日本の住宅では、柱の間に断熱材を詰める「内断熱」が長らく主流でした。しかし近年は高い性能が求められ、外張り断熱に注目が集まっています。
家を外側から隙間なく覆うことで外気の影響をシャットアウトできるため、夏は涼しく冬は暖かい、快適な室内環境を実現できるのが大きなメリットです。
内断熱と外張り断熱の違い
内断熱と外張り断熱の最も大きな違いは、断熱材を施工する「位置」にあります。内断熱は構造体の内側(柱と柱の間)に断熱材を入れ込むのに対し、外張り断熱は構造体の外側に断熱材を張り合わせます。
内断熱の場合、柱や梁がある部分には断熱材を入れられないため、木材などの構造体を通じて熱が逃げたり侵入したりする「熱橋(ヒートブリッジ)」という現象が起こりやすくなります。
一方、外張り断熱は柱などの構造体ごと外側からすっぽりと包み込むため、熱橋が起こりにくく、より高い断熱性と気密性を確保できるのが特徴です。
どちらの工法にも長所と短所がありますが、断熱性能の安定性という面では、外張り断熱のほうが優れている傾向にあります。
<内断熱と外張り断熱(外断熱)の比較まとめ>
|
比較項目 |
内断熱 |
外張り断熱 |
|
施工位置 |
柱と柱の間(壁の中) |
柱の外側(家全体を包む) |
|
断熱性・気密性 |
柱や梁の部分で断熱材が途切れるため、熱が逃げやすい箇所(ヒートブリッジ)ができやすい |
断熱層が途切れず連続するため、安定した高い性能を確保しやすい |
|
壁の厚み・敷地への影響 |
外壁が厚くならず、狭小地でも採用しやすい |
外壁が厚くなるため、敷地条件によっては建築制限を受ける場合がある |
|
屋根裏・床下の活用 |
別途断熱が必要で、温度差が生じやすい |
家全体が断熱されるため温度が安定し、活用しやすい |
外張り断熱を採用する3つのメリット
外張り断熱を取り入れることで、日々の快適さだけでなく、建物の耐久性や間取りの自由度にも良い影響をもたらします。具体的には以下の3つのメリットが挙げられます。
メリット1: 高い気密性・断熱性で壁体内結露を防ぐ
メリット2: 構造体の劣化を防ぎ、家が長持ちする
メリット3: 空間を有効活用し、開放的な間取りができる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1:建物全体の気密性・断熱性が高まり壁体内結露を防ぐ
外張り断熱の大きなメリットは、家全体の気密性と断熱性が飛躍的に高まることです。構造体の外側から隙間なく断熱材で覆うため、外気の温度変化が室内に伝わりにくく、冷暖房の効率が劇的に向上します。
さらに、断熱材が途切れることなく連続しているため、壁の内部で結露が発生する「壁体内結露」を防ぐ効果も期待できます。壁体内結露は目に見えないところで進行し、カビやダニの発生原因となるだけでなく、構造体の腐朽を招く深刻な問題です。
外張り断熱によってこの壁体内結露のリスクを大幅に軽減できることは、家族の健康を守るうえでも重要なポイントとなるでしょう。
メリット2:柱や梁などの構造体の劣化を防ぎ家が長持ちする
外張り断熱は、大切なマイホームの寿命を延ばすことにもつながります。これは、柱や梁といった建物の骨組みそのものが断熱材の内側(室内側)に位置することになるためです。
構造体が室内と同じ安定した温熱環境に置かれることで、急激な温度変化や湿度の影響を受けにくくなり、木材の収縮やひび割れ、腐朽といった劣化の進行を遅らせることができます。
結果として、住まい全体の耐久性が向上し、長期間にわたって安全で丈夫な状態を維持しやすくなります。「せっかく建てるなら、長く安心して住み続けられる家にしたい」と考える方にとって、非常に魅力的な要素といえるでしょう。
メリット3:空間を有効活用でき開放的な間取りを実現しやすい
間取りの自由度が高まる点も、外張り断熱ならではのメリットです。内断熱の場合、壁の中に断熱材を厚く詰め込む必要があるため、室内側のスペースがその分狭くなってしまうことがあります。
しかし、外張り断熱であれば構造体の外側に断熱材を施工するため、壁の内部空間を配線や配管のスペースとして活用したり、柱をあえて見せる「真壁づくり」といったデザインを取り入れたりすることが可能です。
また、屋根裏や床下も室内と同じ温度環境になります。そのため、吹き抜けのある開放的なリビングや小屋裏収納など、空間を無駄なく活かした間取りを実現しやすいのも魅力です。
外張り断熱にデメリットはある?知っておくべき注意点
優れた性能を持つ外張り断熱ですが、費用面や施工面で気をつけたいポイントもいくつか存在します。
導入前に知っておきたい注意点と、その対策について確認しておきましょう。
デメリット1:建築費用が高くなりやすい
多くのメリットがある外張り断熱ですが、導入する際に考慮すべき点として初期費用が挙げられます。
費用が高くなる場合の主な理由は以下の3点です。
<高性能な断熱材自体の材料費が高い>
内断熱で一般的に使われるグラスウールなどの断熱材と比較して、外張り断熱用のボード状断熱材は材料の単価が高い傾向にあります。
<外壁を支える特殊な金物や専用ビスが必要になる>
断熱材の外側から重い外壁材をしっかりと固定し、垂れ下がりを防ぐための特殊な専用部材が追加で必要となります。
<高度な技術が必要で、施工に手間と時間がかかる>
家全体を隙間なく断熱材で覆うには緻密な作業が求められるため、その分の人件費や施工期間が余分にかかります。
ただし、建築時の初期費用は高くなりますが、入居後の冷暖房費(ランニングコスト)は大幅に抑えられる傾向にあります。
数十年という長い目で見れば、トータルの出費が逆転する可能性もあるため、初期費用だけでなく長期的な視点で資金計画を立てることが大切です。
デメリット2:施工を行う住宅会社に高い技術力と実績が求められる
外張り断熱の性能を最大限に引き出すためには、施工会社の確かな技術力と豊富な経験が不可欠です。
断熱材同士の継ぎ目や、窓などの開口部まわりの処理が甘いと、そこから隙間風が入り込み、せっかくの断熱性能が大きく低下してしまいます。
外張り断熱での家づくりを検討する際は、施工実績が豊富で、気密測定などをしっかりと実施している信頼できる住宅会社を選ぶことが重要になります。
デメリット3:外壁に厚みが出るため敷地制限を受ける場合がある
外張り断熱を採用すると、構造体の外側に厚みのある断熱材を張り付けるため、建物の外壁が通常よりも数センチ〜十数センチほど外側に張り出すことになります。
敷地面積にゆとりがあれば問題ありませんが、都心部の狭小地や、隣地との境界線が迫っている敷地の場合、この壁の厚みが原因で希望する広さの家が建てられなくなる可能性があります。
建築基準法や民法などの規定により、隣地境界線から一定の距離を離す必要があるためです。
対策として、限られた敷地面積で外張り断熱を希望する場合は、早い段階で設計士や住宅会社に相談し、敷地条件に合わせた適切な断熱プランを検討してもらうようにしましょう。
デメリット4:重い外壁の垂れ下がりやシロアリ(蟻害)に対する防備が必要
外側に分厚い断熱材を張ることで、地震などの強い揺れが起きた際「重い外壁がズレたり、垂れ下がったりするのではないか」と不安に思う方もいるかもしれません。
この対策として、外壁を支えるための専用の長い特殊ビス(パネリードなど)を用いて躯体にしっかりと固定し、緻密な荷重計算を行う高度な施工技術が必須となります。
また、外張り断熱(特に基礎外断熱を併用する場合)で見落とされがちなのが「シロアリ」のリスクです。
断熱材の中や基礎との隙間がシロアリの通り道になりやすいため、防蟻処理が施された断熱材の使用や、定期的な点検体制が整っている住宅会社を選ぶことが、家を長持ちさせる絶対条件と言えます。
外張り断熱で使われる主な断熱材の種類と性能比較
外張り断熱の性能は、使用する断熱材の種類によって大きく左右されます。ここでは、代表的な2つの素材の特徴と、性能の比較について解説します。
まずは、外張り断熱で主流となっている「押出法ポリスチレンフォーム(XPS)」と「硬質ウレタンフォーム」の性能を比較表で確認してみましょう。
<外張り断熱で主流の「断熱材の性能比較表」>
|
比較項目 |
ポリスチレンフォーム(EPS・XPS) |
硬質ウレタンフォーム |
フェノールフォーム |
|
断熱性能(熱伝導率) |
高い(約0.028〜0.040W/m・K) |
非常に高い(約0.024W/m・K) |
トップクラス(約0.020W/m・K) |
|
価格の目安 |
比較的リーズナブル |
高価 |
最も高価 |
|
必要な厚み |
標準的 |
より薄くできる |
最も薄くできる |
|
耐水性・防湿性 |
非常に高い |
高い |
高い |
|
耐火性 |
難燃処理が必要(燃える) |
難燃処理が必要(燃える) |
非常に高い(炭化して燃え広がりにくい) |
|
おすすめな人 |
コストと性能のバランスを重視したい方 |
外壁を薄くしつつ、高い断熱性を求めたい方 |
断熱性・耐火性ともに最高水準を求めたい方 |
ポリスチレンフォーム(EPS/XPS)などプラスチック系
外張り断熱でよく使用されるのが、EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)やXPS(押出法ポリスチレンフォーム)に代表されるプラスチック系のボード状断熱材です。
水や湿気に強く結露が発生しにくい点や、適度な硬さがあり施工性が高い点が大きなメリットです。
長期にわたって断熱性能が低下しにくく、コストと性能のバランスが良いため、多くの住宅メーカーで標準的に採用されています。
「プラスチックは燃えやすいのでは?」と心配されるかもしれませんが、住宅用のポリスチレンフォームには難燃処理(自己消火性など)が施されています。さらに外壁材と室内の石膏ボードなどの燃えにくい素材で挟み込む構造のため、防火性を確保できます。
なお、後述するフェノールフォームは樹脂自体が熱に強く、炎が当たると炭化して燃え広がりを防ぐ性質を持っており、防火性を重視する方にはより安心感のある選択肢です。
硬質ウレタンフォームなど発泡系
XPSなどのプラスチック系よりも、さらに高い断熱性能を誇るのが「硬質ウレタンフォーム」です。
微細な気泡が熱の伝わりを強力に遮断するため、XPSと比較して「より薄い厚みで同等の断熱性能」を確保できます。
そのため、「敷地条件が厳しく外壁の厚みは抑えたいが、断熱性は妥協したくない」というケースで特に重宝されます。
一方で材料費は高価になりやすいため、予算とのバランスを見極めながら採用を検討する必要があります。
フェノールフォーム
近年、外張り断熱の断熱材として注目を集めているのが「フェノールフォーム」。フェノールフォームは、熱伝導率が約0.020W/m・Kと発泡プラスチック系断熱材の中でもトップクラスの性能を誇り、XPSや硬質ウレタンフォーム以上に薄い厚みで高い断熱効果を発揮します。
フェノールフォームならではの大きな特徴が「耐火性の高さ」です。原料のフェノール樹脂は熱硬化性を持ち、炎が当たると表面が炭化して燃え広がるのを防ぎます。他の発泡プラスチック系断熱材(ポリスチレンフォームや硬質ウレタンフォーム)が難燃処理を施していても燃えてしまうのに対し、フェノールフォームは不燃材料認定を受けた製品もあるなど、万が一の火災時にも安心感がある素材です。
一方で、最大のデメリットは「価格の高さ」です。
一般的なグラスウールと比較して約2〜3倍の価格差があるとされ、発泡プラスチック系の断熱材の中でも最も高価な部類に入ります
我が家に合う断熱材はどれ?「種類」と「厚み」から考える正しい選び方
住まいの断熱性能は、「断熱材の種類(熱の伝えにくさ)」×「断熱材の厚み」で決まります。
ウレタンフォームのように熱を伝えにくい高性能な断熱材を選べば、薄くても十分な断熱効果を得られます。
反対に、標準的な性能の断熱材を使用する場合は、厚みを増やすことで断熱性をカバーします。
ただし、外張り断熱で断熱材を厚くしすぎると、外壁を固定するビスに負荷がかかったり、敷地に対する建築制限に引っかかったりするリスクが生じます。
お住まいの地域の気候条件(寒冷地か温暖地か)や敷地条件、予算に合わせて、適切な種類と厚みのバランスを選ぶことが、快適な家づくりの鍵となります。
まとめ
この記事では、外張り断熱の仕組みやメリット・デメリットについて解説しました。
外張り断熱は、壁体内結露を防ぎ家を長持ちさせるだけでなく、吹き抜けなどの開放的な間取りを実現しやすくなるのが大きな魅力です。
デメリットを正しく理解し、適切な施工を行うことで、いつまでも快適で安心な住まいが完成します。
【断熱性能トップクラスのフェノールフォームを採用!
最高水準の断熱性能の家を滋賀で建てるなら】
オウミ住宅の「Oumi labo」では、今年新たに高い断熱性能を備えた「外張断熱7」のモデルハウスを公開中です!ご家族のライフスタイルに合わせた自由な設計をご提案しております。
・国が定める省エネ性能の最高基準「断熱等級7(HEAT20 G3水準)」をクリア
・屋根から床下まで徹底した多重断熱で、冷暖房コストを大幅削減
・断熱性・耐火性ともにトップクラスのフェノールフォーム断熱材を採用
・最高等級の「耐震等級3」で、家族の安全を永く守る
これからのスタンダードとなる「本当に価値のある家」のクオリティ。
高い設計力を持つ『Oumi labo』が叶える、快適で自由な住まいをぜひ現地でご体感ください。
▼「数字で証明する、本気の家づくり。」
オウミ住宅の性能特化モデルハウス「外張断熱7の家」詳細はこちら



