滋賀の街並みとともに歩み続けて30余年。私たちオウミ住宅が、昨年末に開催した「OUMI DESIGN COMPETITION(ODC)」。全国からクリエイターを募るこの試みは、実はある切実な自問自答から始まりました。
連載の第1回目は、華やかなコンペの舞台裏にあった、スタッフのリアルな葛藤と期待についてお話しします。
「お人形」のようになったモデルハウスを前に
きっかけは、草津展示場にある1棟のモデルハウスの建て替え計画でした。 築10年を超えたその家は、かつて流行したプロバンス風の可愛らしいたたずまい。しかし今改めて眺めてみると、どこか「つくり笑いを浮かべたまま固まったお人形」のように見えてしまったのです。
住宅のトレンドは日々移り変わり、お客さまが求めるものも多様化しています。デザイン、性能、エネルギー、そして予算感……。それらすべてを取り込みつつ、初めて来場された方が「わあ、素敵!」とワクワクし、その先の暮らしを鮮明にイメージできる家とは一体どんなものか。これまでの「オウミ住宅の当たり前」を一度リセットする必要があるのではないか、という危機感がありました。
設計士が、今の時代にできること
もうひとつの課題は、私たち「造り手」の環境でした。 住宅業界において、設計士の役割は非常に大きいものです。お客さまの要望を形にするだけでなく、その一歩先を提案し、トレンドや法律の改定を学び続けなければなりません。図面には、設計士自身の生き様や人柄までもが滲み出ます。
しかし、日々の打ち合わせに追われるなかで、どうしても「正解」が見えにくくなる瞬間があります。 「これからの時代に本当に必要な住宅とは何か?」 社内のリソースだけで答えを出そうとするのではなく、広く外部の視点を取り入れることで、社内の設計士にとっても良い刺激になり、会社全体が成長できる「あたたかな風土」をさらに磨いていけるのではないか。そう考えました。
「とても素敵なふつうの家」が見たい
ぼんやりと考えを巡らせていた時にふと浮かんだのが、「設計コンペ」という手法でした。 全国から多様なアイデアを募ることで、建て替えを控えたモデルハウスの課題も、設計士たちのさらなるステップアップも、同時に叶えられるのではないか。
私たちが求めたテーマは、「とても素敵なふつうの家」です。 奇をてらうのではなく、滋賀の日常に溶け込みながら、住む人が心から「いいな」と思える本質的な住まい。この思い付きが、やがて300件を超える情熱的な応募へと繋がっていくことになります。
オウミ住宅が新しいスタンダードを求めて踏み出した、この「挑戦」の続き。次回、第2章ではコンペがどのように展開していったのか、その熱狂の様子をお伝えします。


