不動産と相場

不動産業界の良し悪しは過分に景気状況と連動する。安倍首相になってからの金融緩和で株価は大きく上がった。政府は紙幣を刷り、日銀は国債を買い上げ、世にありあまるお金は健全な設備投資や新規事業ではなく、不動産と株式市場に向かった。アメリカも同じく国の債務上限を上げ続けながら、日本より、一層株価を上げている。

この10年、株価だけを見ると東日本震災で大きく下げる局面はあったが、それ以降景気状況は総じて良いと判断せざる得ない。不動産も京都大阪のインバウンド効果や地方の二極化など様々な要素はあるが総じて悪くない。では、これからどうなのか?

先週、米国FOMCは年内利上げなしと資産縮小策の9月一時停止、日本においては15日の日銀金融政策決定会合で短期金利マイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策の現状維持を決めた。現実を捻じ曲げる財政・金融政策はいつか必ず破たんする。消費税を上げる判断が5月ということでそこまで日経平均は持つのかな。

この先、リーマンショック級の暴落となり、その時不動産も下がったとする。プロは高利回りになった収益物件を買い漁るのだが、一般の家を買う人とっては必要な時期に必要な不動産(例えば子供が小学校に上がるタイミングでその小学校区に予算に合ったもの)があるかどうかが最大の関心事であって、そのタイミングの価格が高いか安いかはあとになって俯瞰してみないとわからない。

これからのことは誰もわからない。株価も景気もわからない。経済学のノーベル賞受賞者が作ったヘッジファンドが倒産するくらいだ。不動産価格には絶対的な指標がなく、相対的にしか決まらない。ゆえに景況感、とりわけ日経平均株価と不動産価格の連動が私は気になる。